三重県鈴鹿市の社会福祉法人「かがやき福祉会」の役員人事を巡る贈収賄事件で、当時の理事長らに賄賂を渡したなどとして、社会福祉法違反と業務上横領の罪に問われた贈賄側の不動産管理業金田充史被告(53)=和歌山県紀の川市=に対し、津地裁(西前征志裁判官)は30日、懲役10月、執行猶予3年(求刑懲役10月)の判決を言い渡した。
判決によると、金田被告は迫丸卓哉被告(44)=東京都中央区=と共謀。令和4年2月、法人の役員などを変更するよう当時の理事長、四宮慶太郎被告(58)=社会福祉法違反の罪で公判中=に依頼し、四宮被告ら2人に現金計3500万円を渡したとされる。
また、新たに理事長に就任した迫丸被告と共謀し、同年7月、法人の口座から現金500万円を横領したとして、業務上横領罪にも問われている。
西前裁判官は判決で、「法人の理事などを交代させ、金田被告が実権を握ろうとして3500万円を支払った」と説明。「社会福祉法人の職務の公正に対する社会の信頼を侵害した程度は大きい」と強調した。
その上で「法人の買収を自ら交渉。横領については迫丸被告に金を引き出すよう指示し、自分の知人に貸し付けて流用した」と指摘。「各犯行において主導的な役割を果たし、刑事責任は重い」と結論付けた。
また、金田被告と共謀したとして、社会福祉法違反と業務上横領の罪に問われた迫丸被告の公判も同日、津地裁(西前裁判官)であった。検察側は迫丸被告に懲役8月を求刑して結審。判決は来月28日に言い渡される。
検察側は論告で「社会福祉法人の適正な運営を害した」と指摘。弁護側は「いずれの犯行も限定的、従属的な立場で、金銭的利益も受けていない」などとして、執行猶予付きの判決を求めた。