伊勢新聞

56件の指摘と意見 県の包括外部監査 教育事務が初の対象に

【一見知事(手前)に包括外部監査結果を報告する大島監査人=県庁で】

三重県包括外部監査人の大島嘉秋公認会計士は29日、令和6年度の監査結果報告書を一見勝之知事に提出した。法令に違反したケースはなかったが、計56件の指摘と意見を出した。

県によると、大島氏が監査人を務めるのは初めて。監査対象には、教育に関する事務を選んだ。教育関係の事務を監査対象にするのは、制度を開始した平成11年度以降で初めて。

監査結果によると、規則や要領などに反している「指摘」が15件に上った。規則などには反していないが、正確性や有効性などの観点で課題がある41件に「意見」を出した。

このうち、県立久居高(津市)が生徒から集めた学校諸費の会計で、日付が空欄の領収書を添付していた。同校では、使用の見込みが不明瞭な物品を乱雑に保管しているケースも見つかった。

県立水産高(志摩市)では、物品の一覧表に記載されたパソコンなどの2点が実際は存在せず。通路などで天井の一部がはがれ落ちたり、さびによって屋根に穴が開いたりしていた。

このほか、総合教育センター(津市)を拠点とした各高校への遠隔授業を提案。学校独自の取り組みに充てるため、ふるさと納税制度を通じて県立高校への寄付を募ることも促した。

大島監査人は記者会見で「限られた人数で学校諸費を管理していると、問題の温床になる可能性がある」と指摘。対策の一つとして、将来的に監査があると現場に周知することを挙げた。

【天井がはがれた水産高の通路(監査人撮影)】