収賄側の元理事長、無罪主張 社福法人巡る汚職で津地裁初公判 三重

三重県鈴鹿市の社会福祉法人「かがやき福祉会」の役員人事を巡る贈収賄事件で、現金3500万円を受け取ったとして社会福祉法違反の罪に問われた同法人元理事長で会社員四宮慶太郎被告(58)=神戸市中央区=と会社員吉岡百々代被告(61)=同市東灘区=の初公判が27日、津地裁(西前征志裁判官)であった。四宮被告は「役員交代の対価として支払いを受けた認識はない」と起訴内容を否認し、無罪を主張。吉岡被告は起訴内容を認めた。

起訴状によると、四宮、吉岡両被告は令和4年2月、不動産管理業金田充史被告(53)=和歌山県紀の川市=らに法人の役員などを変更するよう依頼され、対価として四宮被告が現金2千万円、吉岡被告が現金1500万円を受け取ったとされる。

四宮被告の初公判で検察側は「四宮被告は令和2年ごろ、吉岡被告と共同で出資して同法人を購入したが、赤字が続いて売却を決めた。税理士を介して交渉し、金田被告らとの合意が形成された」と説明した。

その上で「金田被告から支払いを受け、金田被告が指定する人物に役員などを変更。変更に必要な理事会を開かず、虚偽の議事録を作成した」と指摘した。

弁護側は四宮被告が現金2千万円を受け取ったことを認めた上で「賄賂性の意識がなかった」などとして、無罪を主張した。

また、吉岡被告の初公判で、吉岡被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は吉岡被告に懲役1年6月を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求め、即日結審した。判決は来月20日に言い渡される。