伊勢新聞

国登録無形文化財「手もみ製茶」登録励みに 保存会会長、度会町長に報告 三重

【認定書を手にした中森さん(右)と報告を受けた中村町長=度会町役場で(同町提供)】

【度会郡】「手もみ製茶技術保存会」(事務所・静岡県)の会長を務める中森慰さん(75)=三重県度会町大久保=がこのほど、度会町役場を訪れ、手作業で茶を作り上げる「手揉み製茶」が昨年12月、国の登録無形文化財に登録され、同保存会が保持団体に認定されたと中村忠彦町長に報告した。

手揉み製茶は、蒸した茶葉を焙炉(ほいろ)と呼ばれる加温した台の上で、さまざまな手使いで少しずつ水分を減らしながら煎茶や玉露、かぶせ茶に仕上げていく伝統的な技で、大正時代に標準的な製法が確立されたという。

同保存会は令和6年に手もみの技の継承、向上を目的に結成。「全国手もみ茶振興会」の会員の中で、高度な技の保持者として茶匠(さしょう)や師範の資格を持つ69人で構成されていて、県内では中森さんを含め、6人が所属している。

昨年10月18日に文化庁の文化審議会は、手揉み製茶を国の登録無形文化財にするよう文部科学大臣に答申し、12月16日に登録。「手揉み製茶は、生活文化に係る歴史上の意義を有し、美的な評価を含む技である」と評価された。

中森さんは「全国で手揉み製茶に携わっている人の励みになる。これからもこの技を伝えていきたい」、中村町長は「この伝統を守り続けていただきたい」と話した。