2025年1月27日(月)

▼小学校低学年2人に保育園1人の孫3人は、我が家を訪れるなり食卓に陣取って黙々とスマホに興じる。上の2人が保育園のころは別室でかくれんぼにつきあわされたりして疲れさせられたが隔世の感。少し寂しくもある

▼学校裏サイトや悪質サイトが問題になったころ、携帯電話の普及率は小学生で30%台で中学生が40―50%、高校生で60%強だった。今やスマホは小学生で60%強、中学生で80%強とされる。幼稚園・保育園児でも50%に迫るのではないか。時間を区切るなど、それぞれの家庭で工夫をこらしてても、防犯や連絡、教育用など用途は広がり、家族だんらんがスマホに席巻される日は避けられそうにない

▼スマホが苦手とされた高齢者も、今はネット利用率が70代で67%、60代で90・2%というから驚く。若者のネット依存が依存症など健康を損ねるとされ、高齢者も、いわゆるSNS(交流サイト)による特殊詐欺の対象になると指摘されるが、一律に論じられない

▼本紙で「ウェルビーイングの条件」を連載している近藤克則千葉大予防医学センター特任教授の調査によると、約2万人の高齢者のうちコミュニケーション目的で利用している人の幸福実感度は1・4倍。うつ病リスクは11%低かった。趣味の会に参加など対面交流の16%には及ばないが、効果は明らかだ

▼未成年者にしろ高齢者にしろ、スマホ利用を規制する施策はもはや現実的ではなくなってきているのではないか。実生活と仮想空間との在り方に社会全体で向き合っていくことが求められる。