
【熊野】三重県の熊野市観光協会は25日、同市新鹿町の新鹿海水浴場などを舞台にしたアニメ「凪のあすから」とコラボした大型企画を始めた。作品ゆかりの聖地を前面に出し、観光振興を図る。
同アニメは海と陸に分かれて暮らす世界の少年少女7人の群像劇で、平成25―26年に放送された。アニメツーリズム協会の2024年度版「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に選ばれている。
インターネット上で資金を募る「クラウドファンディング(CF)」の寄付金を原資とし、大型企画を立案。昨年10、11月の約1カ月で国内外の1400人超から総額約2千万円が集まった。
三重交通は、多くの聖地を通る路線バス「潮風かおる熊野古道線」でラッピングバスを運行。キャラクター2人による音声案内が流れるほか、作中で登場するバス停も5カ所で再現している。

同市井戸町の「熊野の宿 海ひかり」は、内装全体をアニメ仕様にしたコラボルームを新たに二つ用意。キャラクターの自宅を再現した部屋、作中の世界観を表現した部屋を選んで宿泊できる。
同市大泊町の「ホテルなみ」は、同所か海ひかりの宿泊者、または2200円以上のコラボグッズを購入した人を対象に、鬼ケ城を望む音声コンテンツルームを開放する。20分貸し切りで予約制。
聖地をキャラクター音声で案内する「AR(拡張現実)観光アプリ」も配信。アプリの位置情報を共有すると、聖地にまつわる物語を視聴できるほか、キャラクターとのAR撮影も楽しめる。
同市井戸町の熊野市駅前特産品館は、ちらしずしなどが入ったコラボ二段弁当を販売。同館オンラインショップから注文し、同館で受け取る。税込み1800円。土日限定で来月23日まで。

同協会によると、昨年は声優の花江夏樹さんのトークショーやパネル展などを企画し、延べ1600人が来場したと推計される。今年は聖地巡りを中心とした企画で、約3千人の来訪を見込む。
同協会の中平孝之会長は「昨年好評に終わったので、今回は聖地を巡れるような企画を多数用意した。地元事業者らと熊野地域を盛り上げ、ファンの方に楽しんでもらいたい」と話している。
企画に関する問い合わせは同協会=電話0597(89)0100=へ。