【尾鷲】西武の上田大河投手(23)=三重県尾鷲市出身=が、強力中継ぎ陣の一角に割って入る。昨季は先発、救援ともにこなす器用さを見せたが、今季は中継ぎ一本で勝負。起用法を明確化し「便利屋からの脱却」を誓う。
上田投手は大阪商業大学からドラフト2位で入団した昨季、6月4日に1軍登録されると、翌5日にプロ初登板。今季最終登板でプロ初先発を果たした。主に中継ぎとして17試合に登板し、防御率2・70だった。
昨春のキャンプは太もも裏の張りでB班スタート。6月に3試合に登板するも、腰痛で戦列を離れた。夏場の再昇格後は登板を重ね、1軍の救援陣に定着しただけに「前半戦の出遅れは正直悔しかった」と振り返る。
一方、一軍復帰で思わぬ収穫もあった。同僚のアブレイユ投手からチェンジアップを教わり、早速ものにした。新たに左打者の外角に逃げる球種が加わることで「投球の幅が広がり、自信になった」と手応えを語る。
宮崎フェニックス・リーグで先発起用が続いた右腕は、今季の首脳陣としての方針は中継ぎ配置と明言。先発への思いを抱え、先発転向の準備を進めてきたが「自分のやることが早々に見つかった」と表情は明るい。
春季キャンプに向けて球団施設で「筋肉量を増やす」とウエートトレーニングを励行。昨季の度重なるけがを教訓に、全身を鍛えることで「連投の利く体力がつき、登板後の負担を減らすことができる」と強調する。
昨季の谷間の先発、ロングリリーフを含む中継ぎ起用を「誰でもできる便利屋」と表現。接戦のリードした場面で登板できるよう「信頼を勝ち取り、登板時の点差を徐々に縮めたい。立場を明確にする」と意気込む。
今季は一軍完走と40登板を目指す。後半戦の約2カ月で14登板した昨季を踏まえ、導き出した数字だ。資格を有している新人王は「もちろん狙う」。同期の西武ドラフト1位・武内夏暉投手が歩んだ足跡を追う。