江戸時代の医師、橘南谿を紹介 津で企画展、初公開の解剖図模写など115点 三重

【巻物「平次郎臓図」の写しを紹介する名越さん=津市久居東鷹跡町の久居ふるさと文学館で】

【津】江戸時代の医師で三重県津市久居出身の橘南谿(なんけい)(1753―1805年)を紹介する展示が、同市久居東鷹跡町の久居ふるさと文学館2階で開かれている。県内で新たに見つかった巻物「平次郎解剖図」模写を中心にA4の解説文115点を展示している。2月2日まで。期間中28、30日は休館。

南谿は久居藩士の五男に生まれ19歳で京都に出て医師となった。医師自らが執刀する解剖を日本で初めて行うなど医学の分野だけでなく、文筆、天文学など幅広く活躍した。

地元の歴史を学ぶ「久居ふるさと郷土会」(今井博代表)が主催。郷土の偉人を知ってもらおうと昨年開いた南谿展がきっかけで、県内の個人宅に巻物の模写があると分かり、展示に至った。

縦27センチ、長さ13メートルに及ぶ巻物は南谿が行った解剖を絵師の吉村蘭州が臓器、関節、頭部など克明に書き留めたものの写しで、手順を記した解説を現代語に訳して展示している。

同会の調査で現存する解剖図は京都、大阪など全国8カ所に13点確認できるといい、担当の名越正直さん(59)は「南谿の地元に巻物が存在していたことが分かった。保存状態も良く本物が見られる貴重な機会」と話している。

26日午後2時から、名越さんが展示を解説するのに合わせて同館所蔵の「橘南谿坐像」を公開する。