
【津】津市上下水道事業局の職員が施工した水道工事を業者が施工したように偽り、工事代金をだまし取ったとして、三重県警は23日、詐欺の疑いで、共に市職員の中村一男(56)=同市柳山津興、松岡泰成(51)=同市久居明神町=の両容疑者と水道工事会社「新英工業」代表新居利英容疑者(50)=同市安濃町内多=を逮捕した。
逮捕容疑は令和5年8月―昨年1月、中村、松岡両容疑者らが施工した3件の水道修繕工事を、同社が施工したように偽装。工事代金計約8万円を市から同社に振り込ませ、だまし取った疑い。県警は「捜査に支障がある」として、3人の認否を明らかにしていない。
県警捜査二課によると、中村、松岡両容疑者は当時、市上下水道事業局水道工務課維持管理担当技能長だった。同社は同課の職員が撮影した工事の写真などを使って書類を偽装。工事代を市に請求していたという。県警は動機などを調べている。
事件を巡っては、松岡容疑者らが実施した本年度の水道工事3件について、同社が工事をしたと偽って工事代金計約11万円を同社に支払わせたとして、市は昨年10月、被害届を提出していた。
その後、県警の捜査で新たに被害が発覚。市は今月20日、今回の逮捕容疑を含む昨年度の工事7件で、工事代金計約22万円をだまし取られたとして被害届を提出していた。
津市「深くお詫び」 職員2人詐欺容疑で逮捕受け
市職員2人らが詐欺容疑で逮捕されたことを受け、松下浩己市上下水道事業管理者らは23日、記者会見し、「市民の皆さまの信頼を損なうものであり、深くお詫び申し上げる」と陳謝した。今後再発防止に向け、組織体制や受注方法の見直しなどを進めるとしている。
逮捕された中村一男容疑者(56)について、24日付けで水道工務課から上下水道管理課へ配置転換。松岡泰成容疑者(51)については昨年10月末にすでに配置転換している。処分については、捜査状況などを踏まえた上で、今後検討する。
市によると、中村容疑者は市水道局に37年間、松岡容疑者は34間従事していたという。市では松岡容疑者らに詐欺疑いがあるとして、昨年10月29日付で被害届を提出。今回発覚した3件のうち2件については、市調査では判明していなかった。
松下管理者は「誠に申し訳ない。市の上下水道事業を預かる管理者として、その責任について大変重く受け止めている」と述べた。その上で、再発防止に向けた業務改善を早急に断行するとしている。