【尾鷲】鈴鹿医療科学大など4大学の薬学生5人による交流授業が22日、三重県尾鷲市矢浜の市立尾鷲中で開かれた。3年生全生徒を前に「地域の絆でつながる未来」と題し、薬剤師の役割や地域課題について語った。
地域医療の確保に向けた薬剤師の養成を図ろうと、名古屋市立大が3大学と連携する課題解決型実習の一環。東紀州での調剤体験などを通じて地域医療の現状を観察し、後輩の学習教材用に映像コンテンツを制作する。
授業では、薬剤師は薬の処方を通じて病気やつらい症状を治す「薬のプロ」と紹介。薬局と病院のほか、食品会社や研究機関など幅広い分野で活躍するとした上で「人々の健康を守って未来をつくる仕事」と話した。
急速な人口減を地域課題の一つとして挙げ、県の人口10万人当たりの薬剤師数207・1人に対し、市は177人と説明。受験を控えた生徒らに「生まれ育った街が将来どうなってほしいか考えて」と呼びかけた。
質疑応答では、男子生徒から「受験本番で緊張を抑える方法は」と問われ、薬学生らは「テスト後にする予定のご褒美を想像する」「自分が分からない問題は、他人も分からないという心持ちで挑む」などと答えた。
鈴鹿医療科学大薬学部薬学科5年の内城龍之介さん(23)は「過疎化が進む尾鷲の発展にはいろんな方法で携われるが、薬剤師も貢献できる選択肢の一つになる。地域医療に少しでも興味を持ってもらえたら」と話した。