津市栗真町屋町の三重大学で22日、工学部応用化学コース3年生89人を対象に、三重トヨタ自動車の竹林憲明社長による水素社会の実現をテーマにした特別授業があった。
特別授業は、金子聡副学長が担当する授業「資源利用化学」の一こま。カーボンニュートラル社会の実現に向けて、認知度の低い水素エネルギーの活用について学んでもらおうと、水素エネルギーを活用した取り組みを進めている三重トヨタ自動車の竹林社長を外部講師として招いた。
講義で、竹林社長は水素エネルギーの利点や同社が取り組む水素社会に向けた取り組みなどについて講演した。
冒頭、トヨタ自動車の水素燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」を「究極のエコカー」と紹介。電気自動車(EV)と比較し、燃料を充填(じゅうてん)する時間が極めて短いことや、吸い込んだ空気をろ過し、浄化された空気を排出するので、走れば走るほど空気がきれいになることを利点として挙げた。
平成28年から県内4社共同で始めた水素ステーション事業や水素燃料電池自動車で発電した電気をドローンや音楽コンサートのほか、昨年11月に鈴鹿市神戸本多町にオープンした複合拠点「鈴鹿モビリティフォレスト」などで活用する取り組みを紹介した。
竹林社長は学生に向け、「皆さんには可能性がいっぱいある。水素に興味を持った人は水素を研究したり、水素関連の企業に行って世の中をもっとよくする道もある。できないと思わず、いろいろなことにチャレンジしてほしい」とエールを送った。
講義後、学生らは屋外へ移動し、水素燃料電池自動車を使った給電の様子を見学。自動車で発電した電気を使った暖房で暖めたテントの中に入ったり、ホットドリンクを飲んだりし、水素でできたエネルギーを体感していた。