▼昨年末に携帯電話のショートメールに入ってきたのは「ドコモ」を名乗る発信者からの「現金山分けキャンペーン」の“当選”通知。内容は、それまでの「当選おめでとう」と変わらないが、直接的なタイトルに笑った。今年に入って「お年玉宝くじ当選確定」に変わって二件。「マッチング」などのタイトルで二件
▼県警が昨年認知した「SNS(交流サイト)型投資・ロマンス詐欺」など特殊詐欺の被害件数を発表した。前年比倍増に迫る過去最悪だが、“現金山分け”や“当選おめでとう”などの手口は見られない。さすがにこれでだまされる向きはいないかと思う半面、成果なしで続けるかと思ったりもする
▼今年も連日被害が報じられている。中で「警視庁のタナカ」を名乗った“古典的”例もあった。“オレオレ詐欺”も復活の気配らしく、新しい手口がそうそう出てこなくなっているか。投資詐欺、ロマンス詐欺にしても、SNSを使って巧妙化しているとはいえ、昔からある投資顧問会社詐欺やデート商法の亜流だ
▼投資顧問詐欺は、株式情報紙などで会員を募り、裏情報を教えるなどとして会員ランクを引き上げ、高額な情報料を巻き上げる。被害者はカンカンだが、取材をしていると「いい情報はないか」と聞いてきたりする。だまされる人は何度でもだまされる、という言葉が脳裏をかすめた
▼オレオレ詐欺は核家族化など、家族形態の変化が背景にあり、孤独なお年寄りに親身になって話を聞く豊田商事の手口の源流がある。歌は世につれ、世は歌につれである。