【津】三重県津市新家町の桃園公民館は18日、同館で新春特別講座を開いた。桃園地区出身で昨年2冊目の著書を自費出版した伊東文子さん(65)=同市野田=が「『雲出川』を著して」と題して、創作の経緯などを話した。
伊東さんは元県立高社会科教諭で令和4年に出した歴史小説「北畠の落日」に続き短編集「雲出川」を出版。講演は地域の歴史を題材にした地元出身者の小説を知ってもらおうと同館が依頼した。
伊東さんは雲出川流域に残る古代、中世、近世それぞれの伝承や史実を基に著した短編3作を解説。南北朝時代が舞台の「雲出川の戦い」では「(北畠)顕家が勝った説と負けた説の両方がある状況を推測し、登場人物が自分の生き方を模索する10代の青春を書いた」と述べた。
郷土を舞台にした歴史小説を書く原点を「郷土を愛する気持ちがあるからこそ」とし「今興味があるのは北畠満雅と結城宗広。自分を信じて学び続けたい」と力を込めた。
近郊の33人が聴講。新家町の大西壽さん(84)は「詳しく話して頂き興味深く聞いた。3作目も期待している」と感想を話した。