▼亀山市長選が告示された。市政の課題が財政問題というから今昔の感がある。シャープの誘致から液晶テレビの亀山ブランドが席巻するまでの隆盛は、つわものどもの夢のあとということか。市税収入は146億円から徐々に減少して、このところ100億円程度で推移しているという。いったん広げた間口を約3分の2に縮小するのは家計に照らしてみても大変だ
▼再浮上の起爆剤と期待されるのがリニア新幹線の新駅決定だろうが、候補地が三地点あり、市や県で絞り込めないままJR東海に委ねた。JR東海にとっては戸惑うことだろうが、市にとっても並行する振興策が定まらず、やきもきする展開ではあるのだろう。新駅決定までの過程については、鈴木英敬、川勝平太の三重、静岡両県前知事同士の“けんか”を思い出す
▼東京での会合で鈴木前知事から新駅は「亀山市に決まったと言っていた」と川勝前知事が会見で発言し、鈴木前知事が「センシティブな話を公の場で話すとは」と猛然と反発した。亀山市への決定は既定路線と考えていただけに唐突な気がしたが、国土交通省出身で亀山市が地元の一見勝之知事に変わっても新駅の候補地問題は一向進展を見せなかった
▼市長選が告示されて、現新両候補者ともリニア新幹線新駅問題は争点になりそうもない。財政問題の浮沈に関わってきた現職は構造改革での再建を訴え、新人は庁舎問題に傾注し、リニア新幹線の誘致では、それによる振興に疑念を示しただけ。すべては新駅が決まってから始まるということだろうか。