19日告示の三重県亀山市長選には、新人で女性の神巫リエル氏(38)と5期目を目指す現職の櫻井義之氏(61)=50音順=の2人が立候補を表明している。11日に新市合併20周年を迎えた同市の課題を探った。
市税収入は平成20年度の146億円から徐々に減少し、令和3、4年度からは約100億円で推移し、6年度も約100億円を見込む。5年度の市の貯金「財政調整基金」は、市が目指す約20億円を下回る約18億7千万円だった。
少子高齢化や物価の高騰などで市税の増収が見込めない中、第2次総合計画後期基本計画の最終年度となる7年度、限られた財源でどう優先順位を決めるのか。
櫻井氏が公約に掲げた「JR亀山駅前再開発事業」は4年10月に完成。複合ビル内に開館した図書館の利用者は増加し、2年目で来館者は50万人を超え、当初の見込みを大きく上回った。
一方、老朽化が進む築60年以上の市庁舎建て替え計画は移転先が同駅前周辺に決まったものの、建設予定地は確定していない。12年開庁予定に向け、各部署で規模や工法、予算など検討を重ねている。
教育、環境は、長寿命化計画に挙がる市内小中学校の整備の他、新ごみ処理施設やし尿処理施設の整備など大型事業が待ったなし。財源を含め時期や手法の判断が求められる。
一方、リニア中央新幹線(名古屋―大阪間)の中間駅が市内に決定。市内数カ所で環境アセスメントが進む中、ルートと駅位置の早期確定が望まれる。
中部・近畿両圏への道路交通の利便性を生かし、亀山・関テクノヒルズ工業団地への企業誘致などにより、多様性のある産業構造・雇用を創出し、未来への飛躍につなげたい。