伊勢新聞

2025年1月11日(土)

▼首相の「大連立」発言での与野党の攻防を見て英米人が不思議がるのは、日本に保守(右派)政党が存在しないこと。自民党は保守を標榜するも、政策は左派がやるバラマキ弱者救済政治。つまり「大きな政府」志向だ。「小さな政府」志向の米共和党、英保守党とは対極的である

▼本来、保守は個人の自由・独立を尊重し、競争を重視し、「機会の平等」を主張する。公的サービスを減らし減税をする。これに対して、リベラル(左派)は競争を制限して格差を是正し、「結果の平等」を求める。社会福祉を強化する。となれば、どこからどう見ても、自民党ばかりか、立民から共産まで日本の全政党がリベラルだ

▼ところが、驚くべきことに、多くのメディア、評論家までもが、与党・自民と立民などの野党を保守対リベラルの構図で捉えている。「103万円の壁」論争は単なるリベラル内の争いだ

▼共和党トランプ次期政権はイーロン・マスクの提言で「政府効率化省」をつくり、年間5000億ドルを削減、公務員の大幅リストラをする。まさに「小さな政府」だ。しかし、保守政党なき日本でこれができるわけがない。