2025年1月8日(水)

▼物見高い県民性にもかかわらず、石破茂首相の神宮参拝に対する沿道は、例年になく静かだったという。雨の首相参拝は衆参同日選挙があった昭和61年以来だそうだが、この時は国会が閉会して安心させ、すぐ臨時国会を召集。死んだふり解散と呼ばれた。昨年末、同日選も選択肢であるかのように示唆した石破首相は、静かな沿道に何思ったか

▼61年同日選は与党が大勝し、当時の藤波孝生官房長官は県内のパーティーで、いかに野党の裏をかいたかを得々と語った。石破首相が初当選した選挙であり、政治の原風景として心に刻みこまれているのではないか。同日選について、年頭会見では「(年末の発言は)可能性を言ったまで」と修正したが、かつての中曽根康弘首相を反すうしているのかもしれない

▼2年ぶりの首相参拝で、それまでと異なる流れもあったようだが、古い記者としては、地元記者クラブの質問に対する首相の回答について、知事の感想が見当たらなかったのが意外だった。質問はリニア中央新幹線と、能登半島地震の教訓を踏まえた南海トラフ地震対策。いずれも一見勝之知事の得意分野だ

▼聞くまでもないと思ったか、翌日の知事年頭会見で聞けばよいことだと省いたか。コスパ(費用対効果)時代のますますの進展を思わせる新年の幕開けである。