松阪市議会は先月9日、議員定数を現在の28人から24人へ4人減らす条例改正案を可決した。同市住民自治協議会連合会が8人減の意見書を提出してから1年余り。真ん中の数字で落ち着いた。市議の任期満了は来年7月31日。
同市は旧松阪市と嬉野、三雲、飯南、飯高の旧4町が平成17年に合併した。同25年の市議選から定数を30人から28人へ減らし、以降3回の市議選は同じ定数。
定数を24人に減らすと伊勢、伊賀両市議会と同じになる。人口が松阪市を下回る桑名市の議会定数(26人)より少なくなる。
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定数問題の発端は同市住民自治協議会連合会が令和5年11月21日に市議会に出した8人削減を求める意見書。「今まで経験したことのない少子高齢化と人口減少時代を迎えました」と切り出し、削減根拠として「人口10万人当たりの議員数を近隣の津市と同等とする」と説明している。
松阪市議会は学識者4人でつくる「議員定数等の在り方調査会」を設置。調査会は4回審議し、会長の小林慶太郎四日市大学副学長が6年10月21日に中島清晴議長へ答申した。住民自治協意見について「他の類似団体との比較などの外形的な視点が主で、根拠としては弱い」としながら、「削減を求めていることは考慮すべき」と受け止めた。
また「議員定数を減らすと旧町を中心とした地域の市民の意見が反映されなくなる恐れがある」とする一方、「住民1人当たりの議員数に着目すると」「今後の人口減少等を踏まえれば、これから先10年後においても、定数を24とするのが妥当」と併記する。
結局、「一つの結論を下す結果には至らなかった」として、「現状維持の28人から4人減の24人までが妥当」と提言した。
実は同年9月16日の3回目の会合で定数を据え置く方向で答申すると合意していた。小林会長は人口減少を見据え定数24人への削減を提起したが、意見を一本化するとして多数意見の「据え置き」でまとめた。
ところが削減を求める住民自治協が反発し、同年10月4日に調査会に対し「提言を切り捨てるとも思われかねない意見がありますことを非常に残念に思っております」とする文書を出した。
すると同月七日の調査会は結論をすぐ変え、据え置きから四人減まで幅を持たせた。民意を代表しつつ集約する議会の本質論を掘り下げ、新たな道を探るわけでもなく、単に譲歩して終わった。しかも結論が分かりにくい。
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答申を受け、全議員でつくる議会改革特別委員会(久松倫生委員長)は同年11月29日開いた。委員らは「人口減少で定数の現状維持は厳しいところがある。26人を提案する。極端な削減はどうか」「4委員会あり、各6人で計24人がいい」と定数削減案が出された。両案に対する無記名投票の結果、4人減が15人、2人減が12人となり、4人減に決定した。
妥当な定数が28から28―24に変わった調査会に対し、同特別委で議員らは「忖度(そんたく)が働いたのかな」「何かの圧力を感じた次第」「願わくば結論を一つだけで出してほしかった」と冷ややかだった。
一方、「議会が議員の処遇を決めるのはおかしなこと」「自分たちのことを自分たちで決めるのがいかに難しいかまじまじと感じる」の声も漏れた。
専門的知見を活用するのもいいが、民意を体現している自分たちに自信を持ってほしい。