2025年1月5日(日)

▼元津市長の近藤康雄氏がまだ県で企業庁長(平成2―4年)を務めていたころの特に後半、話が雑談になると決まって津市政への懸念を話し出した。市長の手腕に疑問も。県職員としてある意味登り詰めた感もあり、直近の市長選で転進を図る意欲満々と感じた

▼本人は、そういうつもりで話しているのではない、一市民として心配なだけだと言って市政の話を続けた。そして、市長の助役(当時)要請をあっさり受諾した。後継の約束がまとまったかと思ったが、それから二年。市長は退陣を表明したが、近藤氏は出馬表明をしなかった。取材にも否定的で、かと思えば「カネもないし」などと言って見極めがつかなかった

▼結局各方面からの要請を受けてぎりぎりの日程で出馬に踏み切ったのだが、行政マン一筋だった近藤氏が老練な政治家のような手練手管を使ったとは思えなかった。その時々で本音を語ってくれたのではないか

▼一見勝之知事が9月に任期満了を控え、進退を明らかにしない。大方は再選出馬濃厚と見ているが、本人は「いろんな方の意見を伺って適切な時期に判断する」。元日の本紙社長との対談では県政の今後について大いに語った

▼防災対策の充実やインバウンドの向上、ジェンダーギャップの解消など、課題克服にも意欲的だった。再選に意欲満々とも見えたが、自身を政治家としながら、知事職は行政組織の長の性格が強いとも語っている

▼一期四年を経て行政マンの匂いはかなり薄れたが、戦術として出馬表明をぎりぎり遅らせているとも思えない。