【伊勢】新年を前に、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮近くのおかげ横丁で27日、内宮周辺の宇治地区に伝わる正月飾り「宇治飾り」づくりが行われた。できた飾りは、横丁内の約20店舗に取り付け、正月を迎える準備を整えた。
宇治飾りは、近隣の山で採取できるサカキやマツ、アセビなどの常緑樹を、麻ひもで束ねて作る正月飾り。玄関に飾る「門飾り」、台所など火の回りの「庚神(こうじん)さん」、水場に付ける「とんぼ」と呼ばれる3種類がある。
作り手の高齢化や市販の飾りの普及により、作り方を知る人が少なくなる中、宇治地区出身の森田和夫さん(92)が、平成22年から、横丁を運営する伊勢福の従業員と一緒に製作し、技術を伝えている。
この日は、従業員7人が参加し、森田さんの手ほどきで宇治飾りを仕上げた。森田さんは「内宮のお膝元なのでサカキを使う正月飾り。地域の人に伝え残したい」と語った。
初めて製作に参加した村上舞さん(31)は「昔の人の知恵を生かしたすてきな飾り。作り方を教わり、継承していきたい」と話していた。