<1年を振り返って2024>津市水道局職員が詐欺疑い 繰り返される不祥事、再発防止策急務

【職員の詐欺行為で謝罪する松下市上下水道事業者管理者(左)ら=津市役所で】

三重県の津市上下水道事業局の男性職員2人が水道の維持修繕工事で、市内の業者に工事を偽装させ、業務委託料約11万円をだまし取らせた詐欺疑いの行為が10月末に発覚した。市は津署に被害届を提出。再発防止策として、発注方法や組織体制の見直しなどを進めている。

市上下水道事業局によると、4月と6月に実施した個人宅の水道止水栓取り替え工事3件で、同局水道工務課維持管理担当の技能長が、実際は同課の男性技能員が工事を行ったにもかかわらず、修繕請負業者の新英工業(同市安濃町)が工事をしたと見せかけ、業務委託料をだまし取らせた疑い。

技能長は技能員が修繕した施工写真を自身のスマートフォンで撮影し業者に送信。同社はそれらを利用して架空の業務日誌や業務完了報告書を作成し、市に提出していた。部下の技能員も問題を知りながら技能長に従っていた。

動機について、同局の聞き取りに技能長は「業者が昼夜を問わずに市が依頼する緊急業務を断らずに受けてくれたことで、業務が円滑に進められた」と述べ、同社に謝意を示す意図で行ったとする。同社の関係者は何度か断ったが、最終的に応じたとしている。

6月にインターネット上で、同社に優先的に工事を発注している疑惑があるとの記事が掲載されたのが発端。それを受け市が水道事業の維持修繕業務全般を調査していた。

特定の業者に発注が偏っていたのは事実だ。市の調査で、同社が維持修繕の請け負いを始めた令和3年以降、委託件数、委託金額とも急増。4年と5年は件数、金額とも他社に抜きんでて最多となっていた。

要因として、水道の復旧など維持修繕工事は緊急性が高いことが理由に挙がる。24時間体制ですぐに業務を請け負ってもらえる業者に集中してしまうとの見方だ。

市がまとめた調査報告書では「安芸事業所は業者間の偏りを全く意識することなく、単に業務依頼を受けてもらいやすく、履行においても問題なく完了していたという理由のみを持って過度に頼っていた」と判断した。

職員と同社の間で金銭授受はなかったとする。ただ、業者の選定に「受けてもらいやすい」以上の恣意的な部分は働かなかったのか、さらなる調査が必要だろう。

今回の件を受け、前葉泰幸市長は「深い反省のもと、新しい体制づくりに取り組む。コンプライアンス(法令順守)の徹底も図る」と再発防止に取り組む考えを示した。

一つは発注方法の見直しに着手する。市長は「一部の業者が多く請け負うのは説明責任が果たせない」と指摘。同局では一部入札方式を導入するなどより透明性を確保する考えだ。

組織体制も見直す。技能長は長年修繕業務に従事し、業者の選定をはじめ実質的な裁量権を持っていたとされる。一方、上司の管理監督が働いていなかったといい、今後はチェック機能強化に向け、新たな体制づくりを行う。

市の調査過程で、ほかにも問題が発覚した。建設業法違反の疑いがある事案が9件、廃棄物処理法違反の疑いがある事案が1件判明。これらについても県と津署に報告し、捜査などに協力するとしている。

市では令和4年に市が運営する津ボートレースのテレビCMをめぐる収賄事件が起こっている。それから2年で発覚した職員による詐欺疑い。繰り返される不祥事に、あらためて再発防止策やコンプライアンスの徹底が求められている。