▼津市の前葉泰幸市長が今年最後の定例記者会見で年間の十大ニュースを発表。合わせて今年の漢字は「拡」だと披露した。5年越しの事業だった津駅北側の大谷踏切の拡張工事が28日開通することが「一つの象徴」で「物理的な幅の広がりだけでなく、市政が大きくステップし、広がっていくという思いを込めた」
▼1年前はJRと伊勢鉄道の踏切遮断が残り「国道23号の渋滞緩和効果は限られたもの」と言っていたが、開通間近となると思いも広がるのだろう。一方、負の側面として挙げたのが、市上下水道事業局職員による詐欺行為で「深い反省のもと、新たな体制づくりに取り組む」
▼市内の業者に工事を偽装させて、委託料約11万円をだまし取らせた。職員は「依頼する緊急業務を断らず受けてくれて、謝意を示す意図」。県庁でも、道路陥没など予算外の修復工事を気心の知れた業者に依頼し、翌年度の発注工事費に上乗せして帳尻を合わせていたが、津市は年度中の“清算”を試みていたか
▼奇妙なのは発覚のきっかけで、業者が市から優先的に工事を受注しているという疑惑がインターネットで報じられたのを機に市が調査した結果という。にもかかわらず、肝心の“優先的発注”疑惑の是非については何の報告もない
▼津市を揺るがした特定自治会長問題や津ボートCM収賄事件では職員と業者らとの“常習的結びつき”が指摘された。今回の職員の詐欺行為も、背景に変わらぬ職員と業者の癒着関係を匂わせるが、またも単なる「詐欺行為」となって暮れていく。