三重大はこのほど、インドなどが原産の「グアー豆」の成分が飲酒によって肝臓にたまる脂肪の量を抑制することを、マウスによる実験で明らかにしたと発表した。肝硬変などの予防につながる可能性がある。
研究グループによると、グアー豆は乾燥地帯で育つマメ科の植物で、グアー豆に含まれる食物繊維(PHGG)は腸内細菌の増殖を促し、腸内環境を改善する効果があるとされる。
研究グループはPHGGを与えたマウスと与えていないマウスを用意し、酒の主成分であるエタノールを投与。通常のマウスは肝臓の脂肪が約6倍になったが、PHGGを与えたマウスは4倍ほどの増加に抑えられた。
また、腸内環境を調べると、通常のマウスはエタノールの投与で肝疾患と関連があるとされるレンサ球菌が増加したが、PHGGを与えたマウスはレンサ球菌がほとんど増えず、腸内環境を整えるとされるビフィズス菌が大幅に増加した。
三重大の西尾昌洋准教授や太陽化学(四日市市山田町)、摂南大(大阪府寝屋川市)の井上亮教授らによる成果で、9月に消化器学に関する国際学術誌に掲載された。
筆頭著者で三重大博士課程3年の森島爽さん(28)は「PHGGは肝機能の改善につながる可能性がある。今後は腸内細菌が肝臓に与える影響を調べ、人間でも同様の効果が期待できるか検証したい」と話した。