三重県の鈴鹿、亀山の2市で構成し、介護保険事業全般を中心に、鈴鹿亀山消費生活センターの運営などを担う「鈴鹿亀山地区広域連合」の継続に関する審議がことし、鈴鹿市議会で始まった。
市によると、同広域連合は特別地方公共団体の位置づけで、平成11年6月に設立。介護保険サービスの安定的な提供ができる一方、現在は地域特性の違いで足並みが揃わないことや市独自の介護予防事業を効果的に推進できないことなど、課題があるという。
3月5日、田中淳一議員は同市議会2月定例議会の一般質問で、同広域連合の解散について質問。市は「見直しが必要」との考えを示し「今後、広域連合のあり方を含め、亀山市と協議、調整していく」と答弁した。
5月13日には、池上茂樹議長が就任後の市政記者クラブ室でのあいさつの中で「鈴鹿亀山地区広域連合の仕組みを検証する特別委員会を新たに設けたい」との考えを示した。
早速、6月28日の同市議会6月定例議会で「鈴鹿亀山地区広域連合検証特別委員会」を設置。委員8人で構成し、委員長に桐生常朗議員、副委員長に曽我正彦議員を決めた。
同特別委員会はこれまでに5回開催。9月11日は、健康福祉部長寿社会課が介護福祉事業における広域連合のメリット・デメリットについて説明。
設置当初は介護認定の給付サービスを広域で実施することで効率化が図れたものの、現在国が進める地域包括ケアシステムの推進については、地域の実情に応じて実施する必要があるため、広域連合と2市の役割が分かりづらく、連携や調整が取りづらいこと▽介護保険料の賦課徴収事務について、広域連合と2市が調整を行った上での実施となるため、市独自で進めることができないこと―などをデメリットとして挙げたほか、広域連合解散後のメリットとして、2市がそれぞれに介護保険データに基づいた介護予防の推進を図れること▽事務の効率化が図れること―などを挙げた。
市の説明を受け、10月4日は同広域連合のあり方について意見交換。各議員からは「合併の話が終わった時点で考え直すべきだった。市の大事な事業の一つとして、それぞれの住民の身近なところでやっていくのが本来の姿」「解散した場合、亀山市のサービスを利用している市民の負担に配慮が必要になる」「広域連合の解散だけではなく、産業面や医療など亀山市との関係を含めてきちんと議論していく必要がある」などの意見が出された。この中で、解散に反対する意見はなかった。
11月18日は同広域連合を解散した場合の流れについて、市が「解散に向けた準備には相当な時間がかかる」と、亀山市との協議や知事への許可申請など制度上の手続きのほか、3年ごとに策定する介護保険事業計画と整合性を図りながら進める必要があることなどを説明した。
同月22日の定例記者会見で、末松則子市長は「国の方針や制度も変わり、二重行政のようになっている実態もあり、亀山市とも話をしていく時期には来ている」との認識を示した。
亀山市は現状をどのように捉えているのか。同市地域福祉課によると「鈴鹿市議会の動きは把握しているが、市の中では現在、広域連合のあり方について議論や検討課題にはなっていない」という。
桐生委員長は「まずは鈴鹿市議会として、市民にとってどの選択が適切かを議論している。年度内をめどに意見をまとめ、市に提言できれば」と話した。