各党が1年以上にわたって「常在戦場」と位置付けてきた衆院選が、石破茂首相の衆院解散によって10月に実施された。県内では自民が1議席を減らす一方で野党が一議席を増やし、県内勢力は「3対3」で並んだ。
政治資金収支報告書の不記載を巡る「裏金問題」で、自民にとっては逆風が収まらない中での衆院選だった。自公の与党は過半数を割り込んだ一方で、立憲民主や国民民主などの野党は大幅に議席を増やした。
三重県内の小選挙区で最も注目されたのは、与野党の4人が立候補した2区。立民新人の下野幸助氏と自民前職の川崎秀人氏による接戦の結果、下野氏が小選挙区で初当選。立民は小選挙区で破れた前回の雪辱を果たした。
さらには、1区に立候補した立民新人の福森和歌子氏が比例復活で初当選。国民の名簿登録者が少なかったことで福森氏に議席が回った格好だが、前回は復活当選さえ果たせなかった立民にとっては朗報だった。
立民は県内の比例代表でも、前回より約8千票多い21万票を獲得。国民も前回の2・5倍に当たる7万9千票を得た。立民の県連幹部は「次期参院選に向けた大きな一歩」と総括。「追い風」への手応えを示した。
他方、自民は苦戦を強いられた。県内の衆院議員で不記載があったのは4区の鈴木英敬氏だけだったが、全ての小選挙区で得票は減少。2区の川崎氏は比例復活しつつ、3区の石原正敬氏は復活を果たせなかった。
「どの選挙区も政治とカネの問題が影響した」。自民県連の田村憲久会長は投開票翌日の記者会見で、そう振り返った。非公認候補の支部にも公示後に2千万円を支給していた問題では、党執行部への不満を漏らした。
そんな中で、次なる戦いの場は来年夏の参院選三重選挙区(改選数1)に移る。前回参院選で参院2議席独占を果たした自民が議席を死守するか、参院選での敗北が続く野党が1議席を奪還できるかが焦点となる。
自民現職の吉川有美氏(51)は3選を目指して出馬する方針だが、自らが代表を務める選挙区支部で240万円の不記載が判明している。県連幹部は「不記載問題の影響が参院選まで続く可能性もある」と危惧する。
一方の立民は今年2月に参院候補を公募すると表明したが、現時点でも候補者が決まっていない。「(参院選まで半年に迫る)来月中には決めたい」と県連幹部。国民や連合三重などと調整を進めている。