男子第75回・女子第36回全国高校駅伝競走大会は22日、たけびしスタジアム京都発着(男子=7区間42・195キロ、女子=5区間21・0975キロ)で号砲。都道府県代表と地区代表の男女各58校が出場し、三重県からは11月の県高校駅伝で優勝した男子・稲生=23年ぶり3度目=と女子・鈴鹿=3年連続3度目=が県代表で出場する。それぞれの転機を経てたどり着いた夢舞台に、闘志を燃やしている。
■稲生
2001年以来の優勝を果たした県高校駅伝は1区で1位の高田から僅差の2位でつないだ廣瀬聡真をはじめ出場した7選手がいずれも2年生だったが安定したレース運びを見せた。首位に立った2区以降は3区間で区間賞を奪い、大会4連覇を目指した伊賀白鳳の追い上げをかわしきった。
16年リオ五輪男子マラソン代表の石川末廣氏ら日本代表も輩出する長距離の名門。敷地内には1周400メートルの全天候型トラックもあり練習環境にも恵まれているが、長距離専門の指導者がいなかったこともあり、近年の駅伝シーズンは伊賀白鳳など他校の後塵を拝してきた。
転機は22年春、伊賀白鳳から転任した中武隼一教諭の陸上部顧問就任。伊賀白鳳前身の上野工OBで12、13年の全国高校駅伝3位などの指導実績がある同教諭の着任を機に昨年春、長距離競技経験者を含む1年生が大量入部。部員増はチーム内の競争意識も高めることにも成功した。
23年ぶりのスタートラインに立つ全国高校駅伝も2年生中心の布陣となりそうだが「今年のうちに都大路に出ることを目標にしてきた」と話す選手らで最善の努力を尽くす。「来年全国で戦うためにも今年都大路に出ることが必要」と話す廣瀬はチーム目標の20位台に向けて「できれば1区に挑戦し、1つでも前でたすきをつなぎたい」と話す。
■鈴鹿
昨年暮れの全国高校駅伝の後に感じた危機感からチームが結束し、3年連続3度目の県高校駅伝優勝につなげた。3年生の井山はる佳は「去年の悔しい思いもあったし、ライバル校も出てきたので、チームとして良い方向に変わることができた」と話す。
初出場の2年前の全国高校駅伝は43位、35回の記念大会でブロック代表を含め58校が出場した昨年の都大路は53位だった。高校1年目から全国の舞台を経験した3年生の林里音主将は「1年目は出られたことで満足。2年目は都道府県の順位より低い順位。本当に悔しかった」。
ライバル校の勢いもチームが変わるきっかけに。県高校総体は3000メートル決勝で稲生にワンツーフィニッシュを決められた。東海高校総体の後、田中将吾監督の提言もあって朝と放課後の2部練習を開始。夏合宿も2回こなして10月以降3000メートル9分台の走者4人をそろえ、自信を持ってロードシーズンを迎えられた。
県高校駅伝は1区こそ首位を逃したが2区以降連続区間賞を奪って逆転に成功した。3区の3年生山中千佳は「(10月に)ずっと目標にしていた9分台の記録を出せて好調を維持できた」、4区の3年生山田和花も「練習を思い出したら不安なく走れた」。
悔し涙を流した昨年の都大路から1年。今年も58校による争いのため「1時間12分台」「30位台」と現実的な目標タイム、目標順位を掲げる。何よりも「もう泣きたくない」(3年生の冨田幸希)。「絶対的なエースはいないが総合力は断トツ」と胸を張る林主将は「全員が自分の力を出し切って終わりたい」と話している。