2024年12月15日(日)

▼カスタマーハラスメントとは顧客からの暴行、脅迫、暴言、不当な要求など、商行為の中での理不尽で著しい迷惑行為を指すが、三重県教委は、教職員が保護者から受ける迷惑行為、いわゆるモンスターペアレントを含めようとしているらしい

▼公立学校の教職員らを対象に「カスタマーハラスメントに関するアンケート」を実施したのだ。県のカスハラ防止条例制定の動きに、教職員と保護者の関係も便乗しようという腹とみえる

▼顧客と保護者の“迷惑行為”が同列に扱えるのかどうか。商品の機能やサービスと、教育の質、内容が同じルールで統制できるのか。そんな議論はほとんど交わされない。「迷惑」という一点でひとくくりにして扱おうという乱暴極まる気がする

▼精神を病んで休職する教職員が少なくないことは以前から問題になっていた。原因は、教室での教育手法の悩みや学校運営上の問題が一番とされたが、保護者からの「暴言」に置き換えられようとしている。子どもが“人質”にとられていて教職員に言いたいことも言えないという保護者も多い。商業行為が中心のカスハラ条例で包括できるかどうか

▼うつ病などで休職する教職員は多く、自殺者も年に数人はでるとされるが、県教委はその対策や調査、分析はしてこなかったという。個人で抱え込まざるをえなくなって追い込まれていく。モンスターペアレント対策もそうなのではないか

▼カスハラ防止条例制定の機会に便乗させようというのも、無策だった県教委としては思えばやむを得ないのかも知れない。