▼中国の習近平主席は、いまや完全な独裁者、皇帝と見られている。これに反日が加わるので、中国経済の低迷を憂える声を聞かない。しかし、ある一点において、彼は「偉大な皇帝」である。中国4千年の伝統である汚職をほぼ撲滅したからだ
▼進出企業人なら周知だが、中国ではメンツと賄賂を重んじなければビジネスは成り立たない。月餅は手土産ではなく、箱の下には現金が詰まっている。どんな王朝でも汚職はあったが、鄧小平時代に加速したという。鄧は共産主義を捨てて現実路線に転換。「白い猫でも黒い猫でも鼠(ねずみ)を捕まえればいい猫」として、贈収賄も容認した
▼以後、中国の腐敗は想像を絶するものとなった。ある共産党幹部は、マンション一棟および100億円を超える賄賂を受け取り愛人5人を囲っていた
▼習近平は就任するや「虎も蝿(はえ)も叩(たた)く」と反腐敗運動を開始。今日まで、党の幹部、軍のトップから地方の小役人まで、数万人を摘発・追放した。ただし、摘発は政敵追放のためともされる。もし汚職摘発が公平なら、中国経済は立ち直る。単なる政敵追放なら、皇帝は恨みを買っていずれ失脚するだろう。