空き家の活用考える 尾鷲、三木里地区で「作戦会議」 三重

【旧三木里小の活用法を話し合う住民ら=尾鷲市三木里町の旧三木里小学校で】

【尾鷲】三木里地区会は12日夜、事前復興の意見交換会「三木里まちづくり作戦会議」を三重県尾鷲市三木里町の旧三木里小学校で開いた。住民や市職員ら10人が参加し、平時や災害時における旧三木里小と空き家の活用法について話し合った。

同地区では、昨春から南海トラフ巨大地震に備えた「事前復興まちづくり」に取り組む。空き家活用モデルの創出や旧三木里小の文化財登録を目標に、先月20日の同会議では文化や教育の観点から、防災を前提としたまちづくりを考えた。

この日は、愛知工業大学の益尾孝祐准教授(建築学)らが、全国の公共施設や空き家の活用事例を紹介。温泉街の再生に取り組む山口県長門市の長門湯本温泉一帯で、長屋や古民家を生かした修景保存が進み、客足が戻った例などを挙げた。

参加者は市民と行政の2班に分かれ、活用事例を参考に旧三木里小の活用法を検討した。市民班は地場産業の継承の場として、シェアキッチンやDIY工房を提案。行政班は郷土資料館やカフェのほか、自家発電設備の導入なども期待した。

学生らが実測調査した空き家の写真や図面を基に、立地条件の異なる5つの空き家から関心度の高い3軒に投票。2班ともに低地にある広小路沿いの空き家に人気が集まり、民家は交流拠点、大型の物件は一棟貸しの宿、などと意見を交わした。

益尾准教授は「地元の人は明確なビジョンを持って取り組んでいる。我々と地元住民らの提案に齟齬(そご)がほとんどない」と強調。今回の提案を踏まえ「空き家モデル事業の方向性を決めつつ、小学校の文化財登録の機運も高めたい」と話した。

次回は来月中旬に開催する予定。会場は三木里小学校。時間は未定。