▼女性の地位向上を目指す「国際婦人年(国際女性年)」を国連が宣言したのは昭和50年。県でも機運が盛り上がり、記念女性シンポジウムが開かれて、女性初の大使となった高橋展子・デンマーク特命全権大使が講演した
▼デンマークは当時から世界屈指の男女平等社会だが、高橋大使は理由を「人口が少ないからだ」と、こともなげに解説した。男女で職業を決めていては社会が動かなくなる。「屈強な女性が警備員になってもいいし、柔和な男性がモデルになるのもいい」
▼労働力不足の解消に向けた取り組みの方向性をまとめた「県人材確保対策推進方針(仮称)」の中間案で、ジェンダーギャップの解消や労働条件の向上など、6項目の方針を掲げた。約半世紀を経て北欧の水準に近づこうとしている。環境条件が似ていると、人は似た方向に動く。日本もそうなる時代がきたということだろう
▼県職員や教職員などでも、県内の優秀な人材が放っていても集まった買い手市場の時代は去った。中間案を見ても、ジェンダーギャップの解消のほか正規短時間勤務制度の導入促進▽取引の適正化▽賃上げの促進―などが具体策として明記された。これまで真逆だった労働環境を大慌てで修正しているようである
▼「誰もがやりがいを持ち、多様で柔軟な働き方ができる社会」などを目指すという。そのためには「産学官が一丸となって取り組むことが必要」。同感だが、何事にも当てはまることである。どうすればそれらが実現できるか。具体策への具体的取り組みが求められる。