伊勢新聞

地震防災意識再び高まる 三重県民調査、南海トラフ臨時情報影響 県議会常任委

【防災に関する県民意識調査の結果について報告を受ける防災県土整備企業常任委=県議会議事堂で】

三重県議会は10日、総務地域連携交通、防災県土整備企業、教育警察の各常任委員会を開いた。防災対策部は防災県土整備企業常任委で、防災に関する県民意識調査の結果(速報)を発表。「薄れつつあった防災意識が再び高まった」と回答した県民が、前年度の約2倍に増えた。南海トラフ地震臨時情報が発表された能登半島地震などの影響とみられる。県は「防災意識を高い水準で維持してもらえるよう、被災時をイメージした啓発活動などに努める」としている。

風水害への意識も高まる 台風10号など影響

 〈防災県土整備企業=中瀬信之委員長(7人)〉

県によると、県民意識調査は9月30日から10月18日にかけて実施。無作為で抽出した18歳以上の5千人に回答を依頼し、55・3%に当たる2766人から回答を得た。

東日本大震災から13年が過ぎての防災意識を尋ねる項目では、50・8%が「薄れつつあった意識が近年頻発する地震で再び高まった」と回答。前年度(23・9%)を大幅に上回った。

「変わらず意識を持ち続けている」との回答も15・3%で前年度(13・5%)から増加。「時間の経過と共に薄れつつある」との回答は20・0%で、前年度の50・2%から大幅に減少した。

風水害についても24・8%が「紀伊半島大水害から13年が過ぎて薄れつつあった防災意識が再び高まった」と答え、前年度の17・2%から大幅増。台風10号などの影響とみられる。

刑法犯13%増、検挙数は下回る 県警報告

 〈教育警察=喜田健児委員長(6人)〉

県警は1月から10月までの刑法犯認知件数が前年同期比で13・2%(1078件)増の9264件に上ったと報告した。一方、検挙件数は前年同期を下回っている。

県警によると、窃盗犯は前年同期比456件増の6190件。全体の66・8%を占める。詐欺犯は367件増の962件。SNS(交流サイト)を使った手口などが増加した。

一方、同時期の検挙件数は145件減の2777件で、2年ぶりに減少。認知件数に占める検挙の割合を示す検挙率は5・7ポイント減の30・0%で、3年連続で減少した。

荊原広樹委員(新政みえ、1期、名張市選出)は、103件の被害を認知した「SNS型ロマンス詐欺」の検挙がゼロだと指摘。「犯罪者側はやりたい放題。まずは1件となるように」と述べた。

ライドシェア「一定のニーズ」 志摩で実証報告

 〈総務地域連携交通=野村保夫委員長(8人)〉

地域連携・交通部は志摩市内で実施した「日本版ライドシェア」の実証で、154件の利用があったと報告。「一定のニーズがあった」とし、来年度の財政支援も検討する考えを示した。

県によると、実証は観光客の移動需要に対応することを目的として、志摩市が実施。7月22日から9月16日までの午後6時から午前0時にかけ、一般のドライバーが有償で客を運んだ。

期間中はタクシーを含めて約1700件の配車依頼があり、うち154件はライドシェアで対応。ライドシェアの利用は一日あたり平均2・75件だった。事故やトラブルはなかったという。

県の担当者は「タクシーが少ない夜間の遅い時間帯などにライドシェアが補完する役割を果たした」と説明。市が来年度も実証を行う場合は、県も引き続き補助金などで支援する考えを示した。