2024年12月10日(火)

▼いつぞや人権団体の会合で、主催者側の一人が「最近は北海道でも部落差別問題への関心が増えてきた」と言ったので、業界の集まりで地元紙の記者に尋ねたことがある。「ないですねえ。北海道ではアイヌの人権問題が中心です」と予想通りの回答で拍子抜けした

▼人権問題の対象は実に広い。人それぞれに、その人にとっての人権問題がある。北海道で生まれ高校生まで育ち、部落問題は聞いたこともなかったが、親友は上京する時、初めて親から聞かされたという。交際した相手から、部落出身者かどうか問われたこともある。親が関西の役場に勤める人権担当だが、娘が結婚する相手としては決して許さないと言われ続けていたという

▼4―10日は人権週間。差別は許さないイベントが催され、それぞれの人権問題が語られたが、部落差別問題が正面から取り上げられているケースは見当たらなかった。新しい人権問題が次々起きてくるご時世だ。古くからの問題は後回しになったか。誰もが知っているからいまさらということか

▼今年は24年ぶりに土地を巡る教職員の部落差別問題が再発。部落差別解消条例制定後初の知事の「説示」があり、小学教諭2人が懲戒処分を受けた。福永和伸県教育長は「痛恨の極み。取り組みが十分でなかった」と語り、県人権教育研究協議会の川島三由紀会長は「衝撃を受けた」。野呂幸利副知事も「強い危機感を持って受け止めている」

▼今年の人権週間も、それら「痛恨」「衝撃」「危機感」は表にでることはなく、淡々と過ぎていく。