松菱に「食べる本屋さん」オープン 地方出版社の500冊、コミュニケーションの場に 三重

【思い思いに楽しむ来店客ら=津市東丸之内の松菱4階「食べる本屋さん」で】

【津】知識を食べるように本を読んで―。三重県津市東丸之内の松菱4階に4日、約50社の出版社の多種多様な本500冊が並ぶ「食べる本屋さん」がオープンした。減少を続ける地方の百貨店と書店が手を組み、本を通じてコミュニケーションが生まれる場をめざす。

同所は同店と専門紙「デパート新聞」(本社・横浜市)とのコラボ企画で全国初の取り組み。大手出版社の新刊本や雑誌などは置かず、地方出版社の書籍を扱う。紳士服フロアの一角約20平方メートルで、木調の什器(じゅうき)をそのまま生かして書棚とし、表紙を見せる形で陳列。小説、専門書、絵本など一冊一冊、担当者や作者が思いを書いたカードを添えている。

中央に大ぶりのテーブルがあり、気になる本をめくったり、専属のスタッフの説明を受けたりできる。同紙社主の田中潤さん(65)は「百貨店の中だからこそできる地域のコミュニケーションの場」と意義を話す。

初日はバリスタの入れたコーヒーのサービスがあり、開店早々訪れた人らが思い思いに楽しんだ。津市内の女性(71)は「自分では探せないものが発見できそう」、娘と訪れた女性(32)は「来る人と話したり違った楽しみがある」と話した。

同店の川合正営業本部長(63)は「地方百貨店は文化を発信する役割がある。ネットで何でも買える時代に、実店舗の良さを感じられる場所にしたい」と話している。