三重県議会11月定例月会議は4日、荊原広樹(新政みえ、1期、名張市選出)、津田健児(自民党、6期、四日市市)、舟橋裕幸(新政みえ、8期、津市)の3議員が一般質問した。政策企画部は太陽光発電施設の適正導入に向け、関係部局の次長で構成する検討会を11月に立ち上げたことを明らかにした。平成29年に設けた適正導入のガイドラインが対象としていない小規模な発電施設も含め、規制の在り方などを議論する。条例制定の必要性も検討する見通し。津田議員への答弁。
カスハラ対策は
荊原 広樹議員(新政みえ)
客による嫌がらせなどの「カスタマーハラスメント」が社会問題になっているとし、対策を求めた。雇用経済部は条例制定の検討を進めつつ、防止に向けた啓発などに取り組むと説明した。
【運転士】
荊原議員 県内でもバスの運転士不足が深刻化している。これからの地方にとって、バスの必要性は高まるはず。バスを残していく観点からも、運転士を確保しなければならない。確保に向けた取り組みは。
長﨑地域連携・交通部長 本年度は初の試みとして、大阪や東京で開かれた運転士募集のイベントに事業者と共同で出展した。採用のノウハウなどを学ぶ事業者向けのセミナーも開いた。事業者の取り組みにも財政的に支援をしている。
【カスハラ】
荊原議員 カスタマーハラスメントが社会問題になっている。お金をもらう側の立場が弱いことを危惧している。罰則は慎重に進めなければならない一方で、急がなければならない対策もあると思う。県の対策は。
松下雇用経済部長 有識者らの意見を聞きながら防止対策を検討している。条例の制定にあたっては、実効性を高めるために罰則規定も検討している。カスハラは許されないという考えを社会に浸透させるなど、できることから取り組む。
街路樹一本ずつ管理を
津田 健児議員(自民党)
県管理道路の街路樹をまとめて管理せず、一本ずつの状況に応じて管理するよう提案。県土整備部は一本ずつ健全度を診断し、台帳を作成するなど、管理の方法を見直す考えを示した。
【提言】
津田議員 県議会の再生可能エネルギーに関する検討会は3月、太陽光発電施設の導入にあたっては地域との共生を図るよう、県に提言した。提言を重く受け止めて対応してほしい。提言を踏まえた検討状況は。
小見山政策企画部長 市町と意見交換し、施設の導入形態や規模を確認した。農地転用をしての設置や風致地区への設置といった課題が明らかになった。関係部局による検討会を11月に立ち上げた。他県の条例を参考に対応策を検討する。
【街路樹】
津田議員 県は景観に配慮する道路▽交通安全・防災に配慮する道路▽その他の道路―に区分して街路樹を管理しているが、それでは街路樹がぶつ切りにされる。仙台市のように一本ずつ状況を把握して管理しては。
若尾県土整備部長 有識者の意見を聞いたり、東京都日野市で樹木の落下による死亡事故が発生したりしたことを受け、街路樹の健全性を確認する重要性を再認識した。今後は一本ごとに健全度を診断し、デジタル化して台帳を作成する。
中部空港海上航路支援を
舟橋 裕幸議員(新政みえ)
津なぎさまち(津市)と中部空港(愛知県常滑市)を結ぶ海上航路への支援を求めた。一見知事は燃料価格の高騰などを受けた支援を進めてきたとし、新たな補助には難色を示した。
【指示権】
舟橋議員 改正地方自治法は、大規模災害や感染症といった国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に、国が地方自治体に対して必要な指示ができると規定した。地方分権の流れに逆行し、地方への圧力になるのでは。
知事 指示権はコロナ禍のダイヤモンドプリンセス号がきっかけ。当時は所管の知事による対応に限界があった。ただ、安易に指示権を振るってはならない。法律の運用が問題になってくる。常にウオッチし、全国知事会と連携して対応する。
【海上航路】
舟橋議員 津なぎさまちと中部空港を結ぶ海上航路の利用者は、ピーク時の65%にとどまっている。燃料の価格高騰も経営を圧迫している。県への玄関口を失えば、インバウンドに大きくブレーキがかかる。支援を。
知事 バスや鉄道もそうだが、赤字補助は難しい。経営努力をしなくなるとは言わないが、補助するほど額が増えるというジレンマもある。これまでも船舶建造の補助や港湾の整備、燃料高騰への支援などをしてきた。国にも要望している。