▼年末の交通安全県民運動(12月1―10日)が始まり、各地の神社では初詣客を迎える「大かがり火」の準備が始まった。年の瀬の足音が急ピッチで近づいてくる
▼県内の交通事故は、件数で昨年比251件減、死者は同17件減(30日現在)。近年まれにみる減少数だが、10月末現在の飲酒運転検挙数は昨年より63件多い301件。飲酒機会が増える年末を前に、昨年一年間の303件を超えるのは時間の問題という気がする。統計というのは、取り方で事態の見方を一変させる
▼8月に県警の男性警部補(36)が酒気帯び運転、信号無視で停職1月の懲戒処分を受けた。前日夜に500ミリリットルの缶酎ハイ3本を飲み、翌日午前1時半ごろ、津市の県道を運転し、交差点で赤信号を無視したとされる。「これまでに何回か同じことをした」と話していたという。酒好きというのは、手の施しようがない
▼小説家の山口瞳に『酒呑みの自己弁護』というエッセイがある。「酒をやめたら、健康になるかもしれない。長生きするかもしれない。しかし、それは、もうひとつの健康を損ってしまうのだと思わないわけにはいかない」として世界の美酒、銘酒を友に、何かにつけて酒と共にあった30余年の思い出を語る。二日酔いで頭が痛く、もうやめようと決意しながら向かい酒くらいならとまた酒を手にするだらしなさを述懐する
▼読んでいて共感するご同輩らも多かったろうか、飲酒運転が厳格になった今なら違ったものになっていたかも知れぬ。年末を控え、くれぐれもご自戒を。