不妊治療費助成制度、対象年齢の制限撤廃を 三重県議会一般質問

【右から山内道明議員、吉田紋華議員、中川正美議員、森野真治議員、石田成生議員】

三重県議会11月定例月会議は28日、山内道明(公明党、3期、四日市市選出)、吉田紋華(共産党、1期、津市)、中川正美(自民党、11期、伊勢市・鳥羽市)、森野真治(新政みえ、5期、伊賀市)、石田成生(自民党、4期、四日市市)の5議員が一般質問した。森野議員は不妊治療の費用を助成する県の制度について、対象を43歳未満としている年齢制限を撤廃するよう要請。県当局は一部の市町が年齢制限を設けていないことなどを踏まえ、対応を検討する考えを示した。

 

 「闇バイト」問題相談窓口を

山内 道明議員(公明党)

犯罪に加担させられる「闇バイト」に応募した若者向けの相談窓口を、SNS(交流サイト)に設けるよう提案。県警は若者が相談しやすい窓口の設置を検討していると説明した。

【発達支援】

山内議員 発達障がい連続講座を受講した医師の多くは、協力に前向きな姿勢を示していると聞く。一方で診療報酬などに課題がある。四日市市は地域の医療機関と連携した体制づくりを検討している。県の支援を。

枡屋子ども・福祉部長 子ども心身発達医療センターだけでは全てのニーズに応じることが難しく、身近に診療を受けられる体制が求められている。四日市市は「みえ子ども・子育て応援総合補助金」の活用も選択肢の一つだと考える。

【闇バイト】

山内議員 闇バイトだと気付いて断ろうとしても、事前に入手した個人情報を基に脅される実態が見えてきている。若者が相談しやすい手段は、電話よりもSNSだと思う。一刻も早いSNSの活用が必要では。

難波県警本部長 闇バイトに関する相談は警察署や110番、各種専用ダイヤル、県警ウェブサイトの投稿フォームなどで対応できる。これらの窓口を周知することに加え、若者が相談しやすい窓口の設定についても検討している。

 水道料金改定の検討状況は

吉田 紋華議員(共産党)

企業庁に水道料金改定の検討状況を尋ねた。企業庁は「当初は値上げを視野に検討を進めた」としつつ、市町からの要望を踏まえて「方向性を変えることも想定される」との認識を示した。

【水道料金】

吉田議員 企業庁は6月の県議会常任委で、18市町から徴収している水道料金の改定を検討すると説明した。本年度中に算定作業を進め、必要に応じて改定する方針を示していたが、検討の状況と今後の方針は。

河北企業庁長 当初は水道料金の値上げを視野に検討を進めてきたが、受水市町から料金引き下げの要望を受けたことから、方向性を変えることも想定される。市町と最終的な調整を進めているところ。協議が整えば報告したい。

【医療費】

吉田議員 障害者医療費の窓口無料化に対する県の補助は子ども医療費と同じく未就学児だけだが、どの世代にも障害のある人はいる。継続的な医療が必要で苦労する実態がある。窓口無料の対象年齢を拡大すべき。

松浦医療保健部長 障害者を含む窓口無料化の対象年齢拡大を検討している。一方で医療費助成は多額の財政負担を伴うため、制度の拡大は慎重に検討する必要がある。持続性の確保も考慮しつつ、市町や関係者の意見を聞いて検討する。

 県誕生150周年事業方向性は

中川 正美議員(自民党)

令和8年に予定される県誕生150周年記念事業の方向性について尋ねた。一見知事は150年間を振り返ると共に、将来の県を考える機会とする方向で準備を進めていると説明した。

【記念事業】

中川議員 現在の県は明治9年の誕生から令和8年4月で150周年を迎える。県は推進本部を立ち上げ、記念事業の検討を進めている。先人たちの偉業を広く周知し、三重の歴史に触れる機会を設けてほしい。

知事 県誕生150周年記念事業は来し方と行く末を大事にしたい。温故知新も。この150年間を振り返ってもらえるような取り組みに加え、子どもたちに将来の三重を考えてもらえるような形になるよう、準備を進めている。

【遷宮】

中川議員 地元では第63回神宮式年遷宮に向けた準備が着々と進められている。このチャンスを生かすべき。国内だけでなく、海外からの誘客も進めてほしい。遷宮に向け、どんな観光振興に取り組むのか。

知事 県の観光は厳しい状況。遷宮の機会を生かさない手はない。効果を県全域に広げるための庁内ワーキングや「おもてなし推進チーム」を設け、準備を進めている。国内からの誘客はもちろん、外国からも来てもらえるよう力を入れる。

 伊賀産廃処分場計画対応は

森野 真治議員(新政みえ)

伊賀市内で計画されている安定型産業廃棄物最終処分場の設置に住民から反対の声が上がっているとして、県の対応を尋ねた。県当局は住民への真摯(しんし)な対応を事業者に求めたと報告した。

【不妊治療】

森野議員 県は不妊治療を助成する制度に43歳未満という年齢制限を設けているが、少子化対策に資するなら何でもやるという覚悟でなければならない。予算には多額の執行残がある。年齢制限を撤廃すべき。

枡屋子ども・福祉部長 年齢制限は国による以前の助成制度や保険適用が基準。母体への影響や分娩(ぶんべん)率が根拠と考えられる。一方で妊娠や出産を希望する女性の年齢は上昇し、年齢に関わらず独自で助成している市町もある。改めて検討する。

【処分場】

森野議員 伊賀市の阿波地区で安定型産廃最終処分場の新設が計画されている。住民説明会が開かれているが、反対の声が上がる。県内では過去に廃棄物の不適正処理事案がいくつも発生した。今後の対応は。

佐藤環境共生局長 5月に事業者から事業計画書が提出された。住民と十分にコミュニケーションを取り、真摯に対応するよう指導している。関係機関と連携し、慎重に審査する。不適正処理事案を二度と発生させないという強い決意で臨む。

 温室効果ガスの削減状況は

石田 成生議員(自民党)

県内から排出される温室効果ガスの削減に向けた状況を尋ねた。県当局は目標達成に必要なペースには「やや届いていない」としつつ「おおむね減少傾向にある」との認識を示した。

【脱炭素】

石田議員 県は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると宣言している。30年度には、13年度との比較で排出量を47%削減する目標も掲げている。目標の達成に向けた進捗(しんちょく)や認識は。

佐藤環境共生局長 21年度の温室効果ガス排出量は、13年度との比較で12・9%減少している。県地球温暖化対策総合計画の目標達成ラインにはやや届いていない状況だが、おおむね減少傾向。目標の達成に向けて着実に取り組む。

【不登校】

石田議員 不登校の児童や生徒がこのまま増加するのが望ましいとは、とても思えない。学校は社会的自立を目指す場として、極めて有意義。不登校の要因を踏まえた対策が必要と考えるが、県教委の認識は。

福永教育長 教員らの回答では、不登校の原因として、生活リズムの不調▽学校生活に対してやる気が出ない▽不安・抑うつ―が多いが、複数の要因が絡み合っている。誰一人取り残さない学びの保障に向け、支援を適切に進める。