中條ていさん、鈴鹿で講演 映画「アイミタガイ」原作、思い語る 三重

【作品に込めた思いなどについて話す中條さん=鈴鹿市飯野寺家町の市立図書館で】

【鈴鹿】全国で上映中の映画「アイミタガイ」の原作者、中條ていさん(68)=三重県鈴鹿市若松=の講演会が23日、同市飯野寺家町の市立図書館であり、作品に込めた思いなどを話した。

「アイミタガイ=相身互い」は、同じ境遇や状況にあるもの同士が共感し、助け合うことを意味する。

中條さんは自身の経験を織り交ぜながら、「アイミタガイの心は言葉で解釈すると難しいが、気づくか気づかないかだけのこと」と述べ、「温かく優しい気持ちは気流のように巡り巡って、色んなところで奇跡が起きている。それを信じてみることで、私たちの日常を明るくしてくれるのでは」と話した。

質問コーナーでは「どうしてあんなに優しくなれる作品が書けたのか」「3人の監督にアイミタガイの心はどのようなかたちで継承されたのか」など数々の問いが投げかけられ、中條さんは「身近な人たちの死など、年を重ねるにつれていろいろな経験をして分かってきたこともある」「原作と脚本の間に立つ編集者がとても良く理解してくれていたので食い違いはなかった。これ以上無いくらいの脚本で、映像に仕上げていただき大満足している」とそれぞれ答えた。

公募の市民63人が参加。参加者の一人、同市白子駅前の主婦中村晴子さん(57)は「些細な日常の出来事も作品づくりにつながる感性の豊かさを感じた。先生の心の温かさに触れることができてよかった」と話した。

中條さんは平成19年に執筆活動を始め、「アイミタガイ」は同25年に出版した4作目。一期一会の連鎖が大きな輪になっていく群像劇を描いた短編連作集。

映画では五つの短編を一つにまとめ、かけがえのない存在だった親友を失い、立ち止まってしまった主人公の思いがけない出会いを描く。