【尾鷲】三木里地区会は20日夜、同地区の事前復興を考える「三木里まちづくり作戦会議」を三重県尾鷲市三木里町の旧三木里小学校で開いた。住民や市職員ら13人が参加し、防災を前提としたまちづくりの課題や目標像について話し合った。
同地区では、昨春から南海トラフ巨大地震に備えた「事前復興まちづくり」に取り組む。避難経路や時間を示す「逃げ地図」の作成や、老朽化したブロック塀の解体を進めたほか、来年度中の高台の空き家活用や旧三木里小の再生を目指す。
この日は、愛知工業大学の益尾孝祐准教授(建築学)が講師を務め、紀伊半島大水害で被災した奈良県十津川村の復興事例を紹介。高台の集落の空き地に住居を移す「差し込み型」移転や、空き家のゲストハウスへの改修について説明した。
参加者らは十津川村の事例を踏まえ、歴史・文化や子育て・教育など七つの項目から、防災を前提としたまちづくりで重要度が高いと考える3項目を選択。全体では福祉・医療の11票が最も多く、次いで移住・働き方と観光の6票だった。
その後、2班に分かれて1人ずつ選んだテーマを発表。同大の学生が進行役を務め、地区の課題や目標像を確認した。参加者らは行事の減少や買い物の不自由を指摘。旧三木里小を使った炊き出し訓練や、乗り合いタクシーの導入を挙げた。
益尾准教授は「まちづくりをしても、災害時だけでなく日常でも使えなければ意味がない」とした上で「まずは旧三木里小を防災拠点として再生する。高台の空き家調査も進め、地区内で一つの空き家活用モデルを作りたい」と力を込めた。
次回は12月12日に開催する。会場は旧三木里小の講堂。第1部は午後1時―同3時。第2部は午後7時―同9時。