【伊賀】任期満了(20日)に伴う三重県の伊賀市長選で初当選した稲森稔尚市長(41)が21日、市役所に初登庁した。就任の記者会見では「市民の声をしっかり受け止める」と抱負を語った。
稲森市長は「県議時代は県政に挑み、大会派の議員にかみついたが、今後は市政や市民に目配りをする立場になる」と説明。「市民から権力を預かっている意識を持ち続ける」と述べた。
「市政と県の関係が弱い。県議の経験を生かして関わりを強くしたい」と強調。築60年が経過する芭蕉翁記念館の整備に向けて「積極的に取り組む。県にも支援を求めていく」と語った。
会見では、来年5月に予定していた同市の「18歳成人式」を取りやめると表明。既に着物などのレンタルを予約した市民のキャンセル料を補償するなどの対応を検討する考えも示した。
取りやめの理由を問われた稲森市長は、市長選の期間中に「18歳成人式だけはやめてほしい」との声を多く聞いたと説明。「これまでの市政は若者の声を受け止めてこなかった」と指摘した。
これに先立ち、稲森市長は幹部職員らを前にあいさつ。「まずは大きな溝ができてしまった市長と市民のつながりを結び直す。市長自らが出向く姿勢を心がけ、切実な声を聞く」などと述べた。
この日、稲森市長は自宅からJR関西線と伊賀鉄道を乗り継いで登庁した。市役所の玄関では、出迎えた職員らとハイタッチ。「みんなですてきな伊賀市を作っていきましょう」と呼びかけた。
稲森市長は介護施設の職員などを経て、市議選と県議選で計5回連続当選。今月10日に投開票された市長選には県議の任期を約2年半残して立候補し、当時の現職ら5人を破って当選した。