伊勢新聞

作品説明の英訳取り組み 津のセントヨゼフ女子高生 石水博物館展示で好評

【桐田学芸員(手前)から茶わんの説明を聞く生徒=津市垂水の石水博物館で】

【津】三重県津市半田の私立セントヨゼフ女子学園の高校生が、石水博物館(同市垂水)の川喜田半泥子作品を説明するキャプションの英訳に取り組んでいる。英語教育に定評のある同学園生が、コロナ禍後に増加するインバウンド(訪日客)の来館者への対応に一役買っている。

両者の連携は、若者世代の視点を博物館運営に生かそうと同館が呼びかけ本年度に始まった。1、2年生有志8人が手を挙げ、第1弾として9月の展覧会で半泥子作品のキャプションを英訳し展示。外国人観光客や彼らを案内する日本人に好評を博した。

日本語独特の表現を英語にするのは簡単ではないが、2年の新谷春楽さん(16)は「日本語にしかない表現、英語にしかない表現を織り交ぜ忠実に再現できるよう考えるのが楽しい」と話す。

今月中旬には、23日から始まる企画展で展示予定の茶わんや掛け軸のキャプション英訳に取り組むため作品を間近で見学した。1年の黒木美鶴さん(15)は「博物館に来る機会はなかったので新鮮。茶わんだけでなく半泥子さんを知れるのは楽しい」と話す。

同校英語科のダグラス・クリストファー教諭(57)は「生きた英語を学び、自分の国の文化を人に伝える経験で日本語の勉強にもなる」、同館の桐田貴史学芸員(30)は「若い人に津を代表する芸術家の半泥子を知ってほしい。茶道具を見て文章を書いた経験が心に残れば、作品は後世に伝わっていく」と意義を話した。