伊勢新聞

2024年11月20日(水)

▼稲垣昭義県議会議長が、選挙に立候補する従業員の休暇取得を認めるよう企業に要請するという。全国都道府県議会議長会が「多様な人材が輝く議会のための提言」をまとめたことに伴う「立候補のハードルを下げる方策」の一環

▼さまざまな活動のうち、稲垣議長が休暇取得に焦点を絞ったのは自身の体験も影響しているらしい。県議選への出馬の決意とともに勤めていた銀行を退職。「辞めずに立候補しても良かったが、当時は(退職するのが)当然だと思っていた」。制度として休暇が認められていれば、ふんぎりはつきやすかったということだろう

▼県職員や異なる公職に立候補しようとする県議らも退職、辞職するのが一般的だが、こちらは公選法のルールが影響しているか。休暇を利用して首長に立候補して仮に敗れた場合、職場に戻って勤務を続けるというのもなかなか想像つかないが、候補者難の時代の一つの新しい形かもしれない

▼昔は、市町長になる県職員が多かった。目指すばかりでなく、地域の中で担ぎ上げられるケースもあり、また職員のまま助役(現・副市町長)に派遣されて、そのまま首長に期待されることになったりした。県議は国会議員を目指すのが普通で、参院議員はベテラン県議ポストとされた時代もあったが、今はどうだろうか

▼群雄割拠。県議が首長を志すケースは増えている一方、県職員は少なくなっている。地元への思いに変化があるか。もともとの堅実な性格が火中のクリを拾うのをためらうか

▼政治に魅力が感じられぬのかも知れない。