伊勢新聞

四日市市長選、立候補3氏の横顔

【(右から届け出順に)森智広候補、伊藤昌志候補、小川政人候補】

【四日市】任期満了(12月23日)に伴う三重県の四日市市長選は17日、告示され、立候補した3氏が24日の投票に向けて舌戦を繰り広げている。3選を目指す現職の森智広氏(46)=2期、水沢町、自民・立民・公明・国民・維新推薦=、無所属の新人で元市議の伊藤昌志氏(54)=茂福=、同じく無所属の新人で元市議の小川政人氏(76)=富田一色町=(届け出順)の3氏について人物像などを紹介する。【届け出順】

森智広候補 14年前から駅立ち

20―30年後も「東海エリアをけん引する元気都市」であり続けるための基盤を創る責任があると語る。市に体力があり、思い切った町づくりに取り組める環境にある今、チャンスを形に変え、更なる成長に繋げていくため、3期目のかじ取り挑戦を決めた。

公認会計士として東京で監査法人に勤めていたが「民間でやってきたことを行政で生かせないか」と考え、郷土に戻った。市長就任から8年、中心市街地再開発を進める中で、「再開発で完成したのはまだ一部だが、マンション、オフィスビルなど民間投資が中心部で多く生まれている。町づくりは官の投資だけでは失敗。それ以上の民間投資が返ってきているので、投資効率が高く、地価の上昇率も県内一位となり、税収も上がっている。自治体経営なので、攻めの部分も重要で、民の需要を喚起しながら、強い信念を持ってやっていきたい」と手応えを語る。

座右の銘は「遅くとも歩み続けた者が勝者になる」。「ゆっくりでも」「スタートが遅くても」歩み続ければ成功に繋がると信じる。政治家を志した14年前から続ける駅立ちは「市民と身近に触れ合えて思いを伝えられる貴重な機会」だ。「民間投資は未来が明るい、町が変わっていく雰囲気だからこそ生まれる。期待感を市民に提供するのも行政の役割。成長し続ける町だと発信し続けたい」と語る。

妻と息子3人の5人家族。子供たちとは短い時間でもインパクトのある過ごし方をしようと、自転車の旅に出る機会をつくり、琵琶湖や京都、大阪城まで足を延ばす。学生時代からバックパッカーが好きで、親子で1―2泊して楽しい時間を過ごしながら「子供に価値観を伝えたい」と笑う。水沢町。

伊藤昌志候補 陸上選手、監督経験

東日本大震災でのボランティア活動をきっかけに政治家を志した。現地で政府の対応を見聞きする中で、それまで政治に無頓着だった自分を反省。子どもたちの未来を守るために「人生の後半は政治活動をやろう」と決意した。「もう間に合わない」「時すでに遅し」との思いも常に去来すると吐露するが、「生きている以上はできることをやろう」との考えは変わらず、5回目の選挙に挑むことを決めた。

政策に市長給与50%カットを打ち出す根本には「権力を握る人はお金持ちになってはいけない。そこを分離しないと」との強い思いがある。「金権政治は終わっていない。日本は未だに民主主義国家ではない」とし、市民税減税など市民生活の支援、地域経済の活性化を促す政策について熱く語る。

好きな言葉は「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末に困るもの也」。西郷隆盛が山岡鉄舟を評したとされる一節を思いながら政治活動を続ければ続けるほど、武士道精神を意識するようになってきた。「自分自身がどうこうなりたいという意識がないから政治活動をやっている。自己資金で全部やっている」と語る日々の原動力だ。

陸上選手、監督の経験を生かして携わっているNPOは22年目に入った。自身が花開いたのは社会人時代だったが「陸上をしたい子が来てくれる。最近も全中陸上で2人同時に入賞した」と目を輝かせ「仕事ではないが、やりがいがある」と笑う。

趣味は温泉で、北勢地区の温泉や公衆浴場に行くのが好き。テニスをしていた次女の影響で、錦織圭選手の試合観戦も息抜きになっている。茂福。

小川政人候補 ガラス張りの市政を

「2期連続の無投票を防ぎ、市民に選択肢を示したい」と、出馬を決意した。

桑名高校を卒業後、平成3年に市議会議員に初当選以降8期務め、自民党四日市支部幹事長、市議会副議長、市議会議長を歴任した。

駅前の整備は力足らず、ふるさと納税は形を変えた税の水平移動で本来の趣旨と異なる、市立図書館移転は予算が合わず断念するなど、現職の市政を痛烈に批判する。

これからのまちづくりの進め方について「延伸と同時に災害に強い道路造り(電線の地中化)などが必要。自動車の自動運転に向けた道路造りの構築も必要」とし、JR四日市駅前で検討が進む大学設置構想については「大学や研究機関は必要だが、災害浸水区域に大学のキャンパスを設置することには疑問がある」と話す。

少子高齢化による人口減少などは「コンパクトシティを目指して住宅地の抑制をしたのは間違いだった。財政にも悪影響を及ぼしたのではないか。現在の四日市は積極的に人口増加に取り組むべきだ」と述べる。

「ガラス張りの市政」を目標に、市長になったら「職員が自由にものを言える職場環境づくりと情報公開の徹底。透明性のある政治で市民の判断を仰ぎ、緊縮財政を止めて必要なことは先送りせずに予算を使っていきたい」と熱く語る。

「青島幸男さんのように、金のかからない選挙をやりたい」として、「人を巻き込まず、自宅を選挙事務所にして、リーフレットも作らず、ポスターも貼らず自分らしく臨む」と、選挙戦への意気込みを語る。4年ほど前に脳梗塞を発症、リハビリのための散歩中に転倒して以来、長く歩くことはできないという。富田一色町。