伊勢新聞

矢口浦上里線バイパス開通 紀北町の県道 国道42号まで最短 着手から27年 三重

【県道矢口浦上里線のバイパス工事の完成を祝う出席者ら=紀北町矢口浦で】

【北牟婁郡】国道42号と三重県尾鷲市須賀利町を最短で結ぶ「県道矢口浦上里線」のバイパス工事が完成し、紀北町は9日、同町矢口浦の現地で開通式を開いた。同日午後3時から供用が始まった。

県によると、集落内を通る旧道は1車線の車道2・6メートルで、大型車のすれ違いに支障をきたしていた。町民らの要望を受け、県が平成9年度から整備に着手し、27年がかりで完成させた。

完成区間は全長1・8キロで車道6・0メートルの2車線。海抜14―28メートルの高台にあり、津波などの浸水想定区域で海抜約1・5メートルの旧道と比べ、防災機能も強化された。総事業費は約16億円。

式典には町内の関係者や国会議員ら40人が出席。尾上壽一町長は「町民らが長年待ち望んだ道路。開通により、地域産業の振興と日常の利便性の向上を大きく期待できる」とあいさつした。

同町の芸能楽団「賀楽多」の和太鼓演奏と、町立矢口小学校の全校児童12人による南中ソーランで式典に花を添え、出席者らがテープカットとくす玉割り、巨大クラッカーで開通を祝った。

式典後、矢口浦区の井土和久区長は「まずは頓挫することなく開通したことに感謝したい。大型車の通行や、南海トラフ巨大地震の避難路としても非常に価値のある道路となった」と話した。