男子は2001年以来、女子は1991年以来の優勝を目指す稲生(鈴鹿市)の存在感が強まっている。1、2年生だけの戦力で、全国高校駅伝の前哨戦として今年10月に鳥取県で開催された「日本海駅伝」「くらよし女子駅伝」で男女とも県勢最高位(男子22位、女子29位)。男子は一時7位の好位置につけた。県高校駅伝でも各校の上級生に負けない走りを見せたい。
男女エース格の廣瀬聡真、小川真生はいずれも2年生。廣瀬は中3だった昨年1月、広島で開催の男子都道府県駅伝に三重代表で出場した実力者。小川も3000メートルの持ちタイム(9分51秒75)で今年の県内高校生トップに立つ。
県内公立校で唯一体育科があり日頃から練習に打ち込める環境。さらに2年前の異動で、通算34度の男子全国高校駅伝出場を誇る伊賀白鳳(旧上野工)を率いた経験を持つ中武隼一教諭が陸上部顧問に加わり、長距離部門強化の機運が高まった。
800メートルを中心に練習していた中学時代、県大会決勝にも残れず「結果が残せなかった」と語る小川だが、高校入学後急成長し、昨年の県高校駅伝で1区2位の好走。今年1月、京都で開催の女子都道府県駅伝でも出場選手に選ばれ、仲間より一足早く都大路にデビューした。
新顧問の人脈も生かして県外の全国高校駅伝常連校の練習に参加したことも奏功した。今年の日本海駅伝で1区7位と堂々たる走りを見せた廣瀬は「周りは速い選手ばかりだったが同じ高校生と思って走ることができた」と胸を張る。
今年春には、昨年の男子県中学駅伝で1区区間賞の平島怜ら長距離で実績ある1年生が多く入部した。投てきの選手も借り出して前年度県高校駅伝7位の女子は、今年出場メンバー全員が長距離選手となる見込み。小川とともに女子長距離ブロックを引っ張る2年生の浅井芽衣は「1年生を楽にさせる走りを」と誓う。
昨年県高校駅伝4位で東海大会にも出場した男子は、1つでも上の順位に挑戦したい。今年の日本海駅伝2区で同学年の廣瀬とタスキをつなぎ区間12位と健闘した稲垣瑛心は「外国人留学生に頑張ってついて行って粘れたことは自信」。昨年の県高校駅伝で廣瀬とともに中盤の主要区間を担った尾宮将馬は「今年はしっかりと前で勝負したい」と意気込んでいる。