▼「笑いはもはや薬である」と本紙に「ウェルビーイングの条件」のタイトルで連載している千葉大学予防医学センターの近藤克則特任教授が書いている。「ウェルビーイング」とは、心身の健康だけでなく、社会環境も良好な状態であるという意味だが、「笑いは薬」は心身が対象である
▼笑いと健康の関係についてはこれまでも多く指摘されてきたが、近藤教授は高齢者1・4万人に笑う頻度を尋ね、笑わない人は要介護認定リスクが1・4倍高まり、認知症リスクも笑う人の方が2割ほど低かったと実証した。漫才などを見て笑うより、対話の方がストレスホルモンの値が大きく下がったという
▼「うそ笑い」でも、漫才などで笑うより効果があるというから、人は集団で生きる動物ということだろう。テレビなどを見るにしても、1人より数人で見た方が効果があるらしい
▼医者が落語を学んで患者の前で演じ、治療効果を上げていると話しているのを聞いたが、心の持ちようが大きく影響するということになりそうだ
▼いつぞや山形県が「笑いで健康づくり推進条例」を成立させて話題となった。1日1回は笑うことや笑いに満ちた職場環境を整備するよう努めるなどで、笑いの効用は認めながらも、条例が精神の自由の領域にまで立ち入るべきではないなどの反対意見があり、あきれる声が多かった気がする
▼毎月8日を笑いの「ハハハ」にちなんで笑いによる心身の健康づくりを推進する日に定めたというので苦笑したが、これも少しは健康増進になったのかもしれない。