伊勢新聞

2024年11月6日(水)

▼男性は子守をしても褒められる―という川柳が全国紙に載ったのは4、5年前だったか。男性の子育て参加を促す有給休暇取得が奨励され、家族との時間を大切にするプレミアムフライデーなどが設定された

▼効果はどうだったか。官民連携の「プレミアムフライデー推進協議会」のサイトは昨年8月閉鎖され、経済産業省に移ったとされるが、実質幕引きされたとみていいだろう。男性の家事参加について、連合のシンクタンク「連合総研」が10月1―8日の調査結果を明らかにした

▼食事の用意を週に6日~7日と回答した女性が73・4%だったのに対し、男性は11・6%。あとかたづけはそれぞれ75・4%、26・5%。洗濯は同66・1%、10・9%。どの家事でも女性が男性を上回ったという。若者のアンケートでは家事は折半という回答が多数のようだが、連合が調査した20~64歳の計約1000人では男女差は歴然ということか

▼秋の褒章・叙勲の受章者が発表された。本紙に恒例の「喜びの声」が掲載された。掲載数が昔と異なるので単純な比較はできないが、家族、特に妻への感謝の言葉がみられなくなった。消防功績の褒章受章者が、サイレンが鳴ると飛び出して寂しい思いをさせた家族に感謝していたのが唯一だった

▼かつては支えた妻への感謝の言葉で締めくくるのが定番だったが、今や「内助の功」はジェンダー平等からもはばかられるのかも知れない。受章者の名前で見る限り女性の数は昔と変わらず少ない

▼夫を支えた妻の力の方も埋没されるようになったか。