任期満了(20日)に伴って3日に告示された伊賀市長選には、現職と新人の計6人が立候補した。「混戦」となった背景には4選を目指す現職への強い反発があるとみられるが、現職は「市政を任せられる候補者はいない」などとして、徹底抗戦の構えだ。他方、混戦の影響もあり、現時点で選挙結果は予想しづらい。多数の候補者による接戦となった場合は選挙が「やり直し」となる可能性も浮上する。
同市長選を巡っては4月、市議=当時=の新人を皮切りに出馬表明が相次いだ。翌月には建設業の新人が立候補を表明。その翌月には4選を目指す現職と、元政府系銀行職員の新人が表明した。
さらには7月、かつて現職を市長選で支援していた県議=当時=の新人が立候補を表明。これで候補者がそろったかに見えたが、その翌月には元県議会議長の新人が突如として出馬を表明した。
市長選の立候補者としては、少なくとも平成16年11月の市町村合併で現在の市となってから最多。政令指定都市などを除き、地方の市長選で六人が立候補するのは極めてまれなことだ。
これほど多くが立候補したのはなぜか。「たまたま」と話す候補者もいたが、新人の多くは「現市政への不満が理由」と見立てる。「期数を重ねて市民との対話がなくなった」という主張だ。
対する現職は、新人らを「ポピュリズム(大衆迎合)だ」「単なるパフォーマンスだ」などと批判。当初は今期限りでの引退も考えたが、新人らを見て「任せられない」と出馬を決めたという。
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6人による混戦ということもあり、選挙結果は予想しづらい。ある陣営が告示前に実施した情勢調査の結果は「候補者のうち一人が優勢」だったが、投票先を決めていない層は多いとみられる。
選挙の構図は「現職に新人5人が挑む」だけではなさそう。取材を進めて分かったが、候補者の経歴や主張、キャラクターは千差万別。どのような視点から構図を描くのかは有権者次第となる。
組織票の点でも読みにくい。元県議会議長の新人を公認した維新を除いて国政政党の県内組織は公認や推薦を出さず。連合三重は現職を推薦。自民は元政府系銀行職員の新人を支持するという。
他方で懸念されるのは「法定得票数」の結果。公選法は首長選で有効投票数の4分の1以上を得票した候補者がいない場合は「再選挙」をすると定める。つまり、選挙は一からやり直しとなる。
現職が初当選した平成24年の市長選で、報道機関の多くは対抗馬の元市企画総務部長が当選すると見込んでいた。当時のような「どんでん返し」が再び起こるのか。選挙結果が注目される。