伊勢新聞

画家・鈴木田俊二の足跡紹介 四日市市文化会館で遺作展 三重

【作品を鑑賞する来館者ら=四日市市安島の市文化会館で】

【四日市】三重県の四日市高校美術部OBOG会(会員約100人、丸山靖弘会長)は2日、同市安島の市文化会館で遺作展「自然と文明を問う~鈴木田俊二展」を開いた。2年前、87歳で急逝した画家で同校美術教諭だった師の、初期から晩年に至る作品やスケッチなど約80点でその足跡を紹介している。10日まで。

【在りし日の鈴木田俊二さん=四日市市安島の市文化会館で】

昭和38年、目が粗い麻布に描いた抽象的な初期作品「土と蟲」から、平成10年の木製パネルに砂と色鮮やかな青のアクリル絵の具で表現した「タクラマカン残月」。令和3年の、砂上にコロナ禍を象徴するマスクを描いた「或る出会い~砂のマスク」まで、年代を追って展示している。

日本と世界を旅して集めた砂を絵の具として用いた作品や、教え子たちと訪れた志摩市・波切の風景作品も紹介。会期中の9日午後1時半から「講演と座談会」がある。小説家の伊吹有喜氏の講演と「鈴木田俊二先生を語る」会がある。

鈴木田さんは、昭和48年から23年間四日市高校で美術教諭を務めた。2年間指導を受けたという丸山会長(68)は「四日市が生んだ素晴らしい画家で教育者、周囲に迎合せず、信念を貫く師でした」と話していた。