【津】三重県建設技術センター(津市島崎町)は1日、同市一身田上津部田の県男女共同参画センターで本年度の地域防災講演会「今やろう!いかす防災」を開いた。東日本大震災で被災し9日後に救出された経験を持つ「3.11メモリアルネットワーク」(宮城県石巻市)職員の阿部任さん(30)と日本トイレ研究所(東京都港区)代表理事の加藤篤さん(52)が講演した。
阿部さんは「ボクの失敗を生かして下さい」と題し、高校1年時自宅で80歳の祖母と共に被災した時の状況を紹介。9日後の救出が「奇跡」「祖母を守ったヒーロー」と報道されたことを「(発災後すぐ)避難しなかった私はヒーローじゃない。今も後悔がある」と複雑な心境を明かし「自分事としてとらえ、死から逆算して対処できることをしておいて」と呼びかけた。
加藤さんは「災害時のトイレ問題を考える」と題し阪神淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震―での事例から、トイレ問題が感染症▽災害関連死▽治安の悪化―を引き起こすと指摘し、各自ができる備えを話した。
同講演会は防災意識を高めようと平成24年度から年1回開催し15回目。県内各地の自主防災会などから約320人が来場した。