伊勢新聞

2024年10月31日(金)

▼連合三重の番条喜芳会長が津市で開いた大会で先の衆院選について「立憲民主党と国民民主党が大躍進した」。県内小選挙区では、推薦した四人のうち、比例復活を含めて三人が当選した。久々の、文句のない大勝利と言える

▼思えば平成元年7月の参議院選挙で、公示一週間前に連合の会公認で新人の井上哲夫を擁立。自民党現職を破って以来、連合三重は向かうところ敵なしで推薦候補は連戦連勝だった

▼小泉改革で勢いを失い、わずかに「三重県方式」など、集団体制で気を吐いたが、その方式も陰りを見せてきたところでの勝利。労働組合の選挙活動は必勝が義務づけられているといってよく、執行部がほっとしていることも想像に難くない

▼手放しで喜べる状態でないことも、大勝利を強調する背景にあるのかもしれない。立民が今回の衆院選を「政権交代選挙」に位置づけたのは周知の通り。その達成が手の届くところにきているが、国民の選挙後は、自民の延命に手を貸すことにもなりかねない可能性をはらむ

▼立民の党首会談の呼びかけにも、いまのところ応じる気配はない。国民の強気の源泉が、一つには連合三重内の一部労組などの強固な支持にあることは否定できない。かじ取り具合によっては、組織分裂の火だねにならぬとも限らない

▼「反自民、非共産」が連合創設以来の理念。曲折もあったが、ようやく本筋に立ち返られそうになったところへの立民、国民両方の大勝利。逆に結束を難しくさせることにもなりかねない。今は大躍進を大いに喜ばねばなるまい。